書籍 システミックデザイン
静かに、美しく、面白く。社会が変わる協働の旅路。
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著者:笧 裕介 発行:issue+design books 販売:英治出版 発売日:2026年6月26日 |
この本が生まれた問い
四季の巡りと豊かな大地、繊細な美意識とものづくり、先人が育み丁寧に受け継がれてきた文化――そんな日本という国を深く愛しながらも、この30年ほど、どこか調子を崩しているように感じてきた。
政治や経済が大きく混乱しているわけではない。けれどその一方で、何かが少しずつ、確実に、うまく噛み合わなくなっている。増える不登校・広がる格差・止まらない温暖化・積み上がる財政赤字――これらは1980年代から指摘されてきた課題だ。30年以上、私たちは有効な手を打てないまま、社会の基盤をじわじわと蝕まれてきた。
なぜ、有効な手を打つことができなかったのか。それには3つの理由がある。課題が緩やかに進行し危機として実感しにくいこと。原因が一つではなく複雑に絡み合っていること。そして対策を講じても成果が表れるまでに時間や場所のずれが生じること。本書はこうした課題を「厄介な課題」と呼び、その構造と向き合う思考と実践の方法を手渡す一冊だ。
システミックデザインとは
本書が手がかりとするのは、課題を「システム」として捉えるシステム思考の視点だ。しかしシステム思考を日常の現場で使いこなしている人は驚くほど少ない。一人でパソコンの画面に向き合い、黙々と因果関係ループ図を描く――そんなイメージが、学びと実践の大きな乖離を生んでいる。
本書が提案するのはその一歩先にある「システミックデザイン」だ。多くの人がともに課題の全体像を大きくふんわりと捉え、「共通の地図」を描く。その地図を囲みながら多様な仲間が集まり、言葉を交わし、アイデアを膨らませ、小さな実践を一つずつ積み重ねていく。そのプロセスを通じて、人と人の関係や暮らし、地域や社会が少しずつ編み直され、美しく、静かに、面白く変わっていく。
システミックデザインとは、人間の持つ「協働」と「創造」の力で、厄介な課題を抱える地域・日本・地球のシステムを、より良い未来へと移行していくデザインの営み。
目次
はじめに
序章 厄介な課題があふれる日本とシステミックデザイン
厄介な課題があふれる時代 / 日本社会を襲う7つの難局 / なぜ克服が困難なのか? / 絡み合う7つの難 / 4つの限界(成長・拡大思考の限界 / 市場経済の限界 / 工学的アプローチの限界 / 分業と階層型組織の限界)/ 課題は生きている / 人間社会に必要な豊かな生態系
ナレッジ編 システムとシステム思考・システミックデザインとは
システムとは / システム思考とは / あなたが変わるシステム思考 / 複雑なものを複雑なまま捉える / システム思考×デザイン思考 / システミックデザインとは / 関係を変え、未来を育む
スキル編 課題の地図を描く技術
イシューマップを描く8ステップ(テーマを言語化する / アクターを洗い出す / 一次情報を入手する / 負の影響と未来を見通す / 背後にある要因を探る / 言葉を精査する / 因果関係を整理する / 負の循環を探す)/ 地図上達のポイント
ケース編 システミックデザインの実践例
認知症世界の歩き方 / LivEQuality / ReBuilding Center JAPAN /「循環者」になるまち・鎌倉 / 飛騨市学園構想 / みんなでつくる総合計画 / 沿線まるごとホテル
プロセス編 システミックデザインの旅の行程
JOURNEY1 仲間をつくる / JOURNEY2 地図を描く / JOURNEY3 道のりを構想する / JOURNEY4 水を確保する / JOURNEY5 旅をひらく
エピローグ システミックデザインのエッセンス
社会は生きている / みんなの力 / 美しさと面白さが世界を動かす / 偶然をデザインする / 全ては現場の対話から / 地球時間で生きる / ギブから始まる経済 / 身体にしかわからないこと
おわりに / 参考文献一覧 / 旅の用語集
こんな方に読んでほしい
- 社会課題の現場で試行錯誤を続け、今のやり方に行き詰まりを感じている方
- システム思考に関心はあるが、難解そうで手をつけられていない方
- 書籍や講座でシステム思考を学んだ経験はあるが、実践するイメージが湧かない方
- 社会起業家、まちづくりのプレイヤー、地方自治体職員、学校教員、医療・介護・福祉の専門職、社会課題に挑むビジネスパーソン
この本から広がる体験
書籍の内容をベースに、さまざまなプログラムやコミュニティが展開されています。
著者プロフィール
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筧裕介(Yusuke Kakei) issue+design 代表 / システミックデザイナー 1975年生まれ。博士(工学)。慶應義塩大学大学院 特任教授、東京医科歯科大学大学院 客員教授、多摩美術大学 非常勤講師。1998年博報堂入社、2008年「issue+design」を設立。社会課題解決・地域活性化のためのデザインを犍引する。 主な代表プロジェクトに「できますゼッケン」「親子健康手帳」「高知県佐川町・みんなでつくる総合計画」など。グッドデザイン賞、カンヌライオンズなど国内外で多数受賞。 著書『認知症世界の歩き方』(20万部超)、『持続可能な地域のつくり方』『ソーシャルデザイン実践ガイド』ほか。 |
著者より
この本を読み終えたとき、すべての答えが見えている必要はありません。霧が少し晴れ、足元に一本の道筋がうっすらと浮かび上がる。それで十分です。
迷いながらも、仲間と語り、立ち止まり、また歩き出す。その小さな実践の積み重ねによって、やがて地域は、社会は、地球は、美しく、静かに、面白く変わっていくのです。
この本が、あなた自身が課題に向き合い、次の一歩を踏み出し、システミックデザインの旅を続ける、ささやかな伴走者となれたなら幸いです。


