STORY 認知症世界を旅しよう
ご本人の声をもとにできあがったストーリーで、
認知症の方が見えている世界を見てみましょう。
認知症世界の歩き方とは?
ここは認知症世界。
あなたは、この世界の玄関口・ディメンシア港にたどり着いた旅人。これから認知症世界の旅が始まります。
認知症とともに生きる世界では、不思議な体験をする乗り物や店、出会ったことがない民族、想像を絶する風景が次々と目の前に現れ、誰もがいろいろなハプニングを体験するのです。
認知症のある方が経験する出来事を「旅のスケッチ」と「旅行記」の形式でまとめたストーリーが「認知症世界の歩き方」です。
プロジェクト背景
本プロジェクトの構想の基礎となっているのが、認知症未来共創ハブ が実施している認知症のある方約100名へのインタビューです。このインタビューは、当事者の思い・体験と知恵を中心に「認知症とともによりよく生きるいまと未来」を創ることを目指す、認知症未来共創ハブの活動の中核として進められているものです。 ※インタビューをまとめたウェブサイト「認知症当事者ナレッジライブラリー」のページはこちら
認知症のある方の心身には、どんな問題が起きているのでしょうか。
その結果、いつ・どこで・どんな状況で生活のしづらさを感じているのでしょうか。
いざこういうことを調べようとしても、これまでに出版された本やインターネットで見つかる情報は、どれも症状を「医療従事者」や「介護者」視点の難しい言葉で説明したものばかり。肝心の「ご本人」の視点から、気持ちや困りごとがまとめられた情報はほとんど見つからないのです。
わたしたちは、この大切な情報が不足していることが原因で、多くの人の認知症に関する知識やイメージに偏りが生まれ、ご本人と周りの方の生きづらさにつながっていると考えました。そこで、当事者インタビューのデータをもとに、認知症のある方の声を分析・構造化することに着手。認知症のある方が心と身体に抱えるトラブル・障害を「44の心身機能障害」として整理しました。
このプロジェクトに込めた思い
こうして認知症のある方ご本人の声をもとに、できあがった14のストーリーが「認知症世界の歩き方」です。ストーリーには、暮らしの中のさまざまなシーンで引き起こされる「148の困りごと」と、その背景の一つとして考えられる「44の心身機能障害」が結び付けられています。
認知症は「今のところ」は、医学的に治す方法はない、という事実があります。
しかし、「本人の視点」から認知症を学び、生活の困りごとの背景にある理由を知ることで、「どうやって、認知症とともに生きるか」、つまり、「付き合い方」や「周りの環境」は変えることができるはずです。
認知症のある方が生きている世界をもっと自分も知りたい。この超高齢社会の日本に、もっとその世界を想像できる人が増えることで、変わることがあるに違いない。
本プロジェクトが、認知症とともに幸せに生きる未来をつくるための手掛かりとなれば幸いです。