はたらきはぐくむ

知恵

社長として3回育児休暇をとって得た、
たくさんのもの
社長として
3回育児休暇をとって得た、
たくさんのもの

[ 知恵をひらめいた人 ]

サイボウズ株式会社
代表取締役社長 兼 チームワーク総研所長 青野 慶久さん

私が以前はたらいていた職場にも、男性の育児休暇制度はありました。でも、“誰も取得していなかったので不安で取れない”という状況でした。そんな状況を突破するためにはリーダーが率先しなければと、私は子どもが生まれる度に育児休暇を取得しています。

第三子が生まれたときは、妻から「短時間勤務をしなさい」と、上2人の保育園の送迎を命じられました。16時半のお迎えに間に合うよう、16時には「お迎え行ってきます!」と会社をダッシュで退社する毎日。すると会社の雰囲気が変わり、男性育児休暇が当たり前になりました。いまや、インターネットで「イクメン社長」と検索したら、基本的には私が出てきますよ(笑)

育児をして気付くことがたくさんありました。仕事は、子育てに比べれば遥かに楽。子育ては、24時間365日休み無しで、さぼったら子ども死ぬんですよ。かつては育児と商売、どっちが大切かわかりませんでしたが、育児は経済活動のベースを作っている、ということに気が付きました。

育児をするまではワーカーホリックで、ソフトウェアのことしか知らなかったのですが、社会のことをたくさん知りました。待機児童、学校、医療業界、スーパーなどに触れることで、視野が広がり、社会課題にもたくさん気付くことができ、経営者は、子育てやっとかないとあかんな、と思いました。家事育児を全くしない男性管理職ばかりの会社に負ける気がしませんよね(笑)

学校卒業して会社に入ったら、社会人になるっていうじゃないですか。違いますよね、ただの「会社人」ですよね。社会ってもっと広いですよ。育児をやっていないやつが社会人名乗るなって感じですよね(笑)

ただ、問題がありました。労働時間が半減したのです。これは困りました、仕事が終わらない。そこで、社長の仕事もチーム戦にして、みんなで仕事をシェアすることにしました。すべての社員もチーム戦にしたら、全社的に残業を減らすことができました。
(2019年3月15日 前橋市働き方改革推進セミナー講演より)

サイボウズ株式会社 代表取締役社長 兼 チームワーク総研所長 青野 慶久

1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役社長に就任。2018年1月代表取締役社長 兼 チームワーク総研所長(現任)
社内のワークスタイル変革を推進し離職率を7分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。また2011年から事業のクラウド化を進め、売り上げの半分を超えるまでに成長。総務省、厚労省、経産省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。
著書に『ちょいデキ!』(文春新書)『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』(PHP研究所)がある。

サイボウズ株式会社HP:https://cybozu.co.jp/

ライター

楯友紀

Tate Yuki

市民ライター