【開催レポート】
気候市民ダイアログ in 柏 -地域と地球の未来を語ろう!変えよう!-
背景・目的
この度issue+designでは新たな取り組みとして、地域の脱炭素政策を市民と共に考える「気候市民ダイアログ」を立ち上げました。
世界35カ国・400地域で実践されてきた仕組みをベースに、日本のまちの現場に合うように新しいプログラムを開発。2030年までに全国1,788自治体へ広げていくことを目指しています。
開催概要
日時:2025年9月21日(日)10:00-16:00
会場:ラコルタ柏 多世代交流スペース
主催:issue+design
後援:柏市
▼当日の流れ
10:00-10:15 イントロダクション
10:15-12:15 カードゲーム「気候変動と脱炭素を学ぶ」
12:15-13:00 昼食
13:00-13:40 レクチャー「柏のまちと基礎データを知る」
13:40-16:00 ワーク「2030年の柏のまちづくりを考えよう」
16:00 クロージング
当日の様子
千葉県柏市で「気候市民ダイアログ in 柏」を開催しました。
本プログラムは、issue+designが提供する「気候市民ダイアログ」を柏市環境政策課と連携して実施したものです。
「気候市民ダイアログ」とは、気候変動という大きな課題に対して、行政や専門家だけでなく市民が主体的に対話し、地域の課題解決と行動につなげることを目的としたプログラムです。
近年、全国的に40度を超える猛暑や突然の大雨・台風が頻発し、熱中症や停電、エネルギー価格の高騰など、暮らしに直結する課題が増えています。
柏市は、最先端の都市機能を持つエリアや商業施設が密集するエリア、そして自然豊かなエリアが混在する、個性豊かでユニークなまちです。また、市内には東京大学や千葉大学、国立の研究機関などがあり、市民が最先端の研究に触れる機会も多く、再エネ導入や市民が主体的に関わるまちづくりにおいて、大きな可能性を秘めた地域でもあります。
当日は、市民・行政職員・議員・学生など、世代や立場を超えた多様な参加者が集いました。柏市が掲げる脱炭素のビジョンを共有しながら、2030年までにどのような行動を積み重ねていけるか、体験と対話を通じて考えました。
●ゲームで体感する脱炭素と気候変動
2030年までに地域の温室効果ガス排出量半減(100から50にする)を目指すカードゲーム「脱炭素まちづくりPLAY!」を通じて、気候変動と脱炭素についてゲーム感覚で学ぶことからスタートしました。
1ターンごとに振り返りをしながらゲームを進めていきます
スタート直後は思うようにプロジェクトが実施できず、戸惑う様子も見受けられましたが、ゲーム中盤から「お金あるので援助します!」「このプロジェクトを実施したいです!」のような声かけが活発に行われていました。
ゲーム終了時の排出量は「58」と惜しくも目標には届きませんでしたが、とても高い再エネ導入率を出すことができ、会場からは驚きの声があがりました。
今回のゲームのまとめ
●データで学ぶ柏市の現状
午後は柏市職員の方から柏の魅力についてお話していただきました。「おいしい、楽しい、嬉しいを考えることが脱炭素にもつながっていくのではないでしょうか。」という言葉には思わずうなずく参加者の姿も見られました。
また、柏市の人口や土地利用状況、CO₂排出量などのデータから、まちの現状を多角的に確認しました。あわせて、環境に関する条例や計画、市民の意識傾向についても学び、柏市が抱える課題や地域ならではの特色を具体的に理解する時間となりました。
これにより、参加者はアイデアを考えるための土台となる情報を整理し、柏のこれからを考える対話への準備を整えました。
●未来の柏を描く
柏市の現状や特色を共有した後、参加者は柏市の「地産地消」の視点に基づき、ゼロカーボンシティを推進していくビジョンに沿って、「エネルギー」「食」「地域資源」の3つから、自分の興味や関心のある分野を選択しました。
「2030年のある日、あなたは柏のどこにいますか?」「誰と一緒にいますか?」「そこでどんなことをして楽しんでいますか?」という問いかけをもとに、未来の柏の姿を自由に描き出します。
グループ内では、それぞれのアイデアを共有しながら、どのように実現へとつなげていくか、仕組みや仕掛けの可能性についても活発に議論が交わされました。
グループで意見交換をしながら仕組みを考えていきます
最後に柏市の白地図の上で全体共有を行い、以下のようなアイデアが生まれました。
・地域の農家と連携して子どもが栽培から料理まで行う
・手賀沼のウナギを復活させる
・柏産野菜を使った料理コンテストの開催
市民の自由な発想と行政の知見が交わることで、地域の脱炭素に向けた多様な可能性が見えてきました。
●参加者の声
・地元柏の人たちと議論を重ねることで、地域のつながりと課題の広がりを実感できた。
・難しく感じるテーマも、自分の得意な視点や好きなことを入口にすることで、広がっていくと感じた。
・環境問題を“自分ごと”として考えることの大切さに気づくことができた。
・これまで関わることのなかった方々と関わることで、自分の視野や知識を広げることができた。
また、行政職員からは次のような感想が寄せられました。
・市民の多様な視点から出た提案は、市の進めている施策とも重なり、改めてその重要性を実感しました。こうした対話の場が他地域にも広がることを期待します。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
今後に向けて
今回の提案内容は報告書として整理し、柏市への提出を予定しています。
さらに、12月14日(日)開催の「かしわ環境フェスタ」内で振り返り会を実施し、提案の進捗共有や新たな行動アイデアについて再び市民と話し合う予定です。
柏市から始まったこの試みをきっかけに、市民・行政・議員が共に考え、共に動く地域づくりの輪を全国へ広げていくことを目指しています。
お知らせ
今年度は地元行政や地域団体と協力しながら、千葉県柏市、愛媛県今治市で気候市民ダイアログを開催します!
<9月21日(日)に開催終了しました>
千葉県柏市|未来をつくる世代と考える「地産地消のまちづくり」
若者を中心に、食・エネルギー・地域資源の地産地消をテーマに議論。豊かな地域づくりと脱炭素を両立させるための気候政策を考えました。
愛媛県今治市|地域企業と共創する「脱炭素経営」
中小企業を中心に、脱炭素と地元経済活性化の両立をテーマに議論。造船やタオルなど地域産業を基盤に、新しい脱炭素事業・起業を促進する気候市民政策を考えます。
日時:2026年1-3月開催予定
あなたの地域でも気候市民ダイアログを開催しませんか?
気候市民ダイアログは、全国の自治体・団体が導入できる仕組みです。下記のような自治体、地域に気候市民ダイアログを活用していただきたいと考えています。
・ゼロカーボンシティ宣言をし、市民参加型でのまちづくりを進めたい自治体・地域
・地球温暖化対策実行計画(区域施策編)や総合計画を市民参加型で進めたい自治体・地域
・学校や若者団体と連携し、次世代教育や人材育成の場として活用したい自治体・地域
・地域産業や企業と連携し、脱炭素経営や産業振興を推進したい自治体・地域
・市民・企業・NPOと連携し、気候変動時代の地域ビジョンを描きたい自治体・地域
開催方法は2つあります!
開催方法1|issue+design協業モデル
issue+designに依頼し、気候市民ダイアログを共催する方法です。集客や会場手配は地域と協働で行い、当日の運営はすべてissue+designのファシリテーターが担います。専門スタッフの伴走支援を受けながら、安心して開催することができます。
開催方法2|資格取得・地域主導モデル
気候市民ダイアログファシリテーター資格を取得し、地域独自に開催する方法です。地域に根ざした自主的な実施が可能で、プログラムに必要なツールキット、運営用スライド、ワークシートなどは一式提供されます。