認知症世界。この世界には、いつの間にかタイムスリップしてしまい、過去の思い出とともにどんどん歩みを進めたくなる不思議な街があるのです。
小高い丘に広がる高級住宅街・アルキタイヒルズ。不思議なことに、ここを訪れただれもが「懐かしいなあ」という言葉を口にします。実はこの街を歩いていると、それぞれの忘れがたい思い出が次々と、ひとりでに呼び起こされるのです。
現役刑事だった頃、一晩中張り込みした記憶。絶世の美女との夢のような1日。友人の科学者が発明した空飛ぶスケートボードで飛び回った思い出……。昔の記憶があたかも今、起きているかのように感じられ、夢中で当時と同じ行動をとってしまうのです。