認知症世界。この世界には、何度訪れても必ず迷い、目的地にたどり着く前に必ず寄り道をしてしまう、摩訶不思議な商店街があるのです。
この世界でもっとも賑やかな通り、二次元銀座。この街では、目の前の風景が平面の絵のように見えるため、「近い」「遠い」という感覚があまりありません。目の前の二次元の景色がすべてなので、自分の位置を空から俯瞰して描かれた「地図」は存在しません。そのうえ歩いていると、東西はふいに入れ替わり、案内板の矢印はあらぬ方向を指し、目印にしている建物は突如消えてしまう、カラクリの街……。この街を歩く人々は、どうやって目的地に着くというのでしょうか?