認知症世界の
旅へ
認知症世界の歩き方
STORY 10

服ノ袖トンネル

あなたの腕は、この暗闇を
抜けられるのか?

認知症世界。この世界には、一見簡単そうに見えるのに、壁にぶつかり、袋小路にはまり、なかなか出口にたどり着かないトンネルがあるのです。

農村地帯から山を貫き、都市部へ伸びるこのトンネルは、ほんのわずかな距離の一本道。しかし、入り口から先を見通すことはできません。それはまるで、とてつもなく奥まで続くブラックホールのようです。
意を決して足を踏み入れると、あっという間に失ってしまう距離や方向の感覚。何度もぶつかってしまう壁……。しかも、奇妙なことに、通るたびにサラサラだったりゴワゴワだったり感触が異なります。そして最後には、どう身体を動かしていいかさえわからなくなり、ぼう然と立ち尽くしてしまうのです。

心身機能障害

「服ノ袖トンネル」に直面する背景には、
以下3つの認知症に伴う心身機能の障害が考えられます。

  • 対象物との距離を正確に把握できない
  • モノや空間の奥行きの存在を認識できない
  • 自分の身体の位置や動きを適切に認識できない・動かせない