市井のプロダクト
わたしたちの暮らしは、まちのなかでモノづくりをする
“まちの職人”たちによって支えられてきました。
おとなりの鍛冶屋さんや瓦屋さん、染屋さんや、左官屋さん。
彼らによって、一つ一つ作り出されてきたモノは、
わたしたちの生活に馴染むとともに、
彼らの仕事場である “こうば” 自体も自然とまちの風景の一部となってきました。
それらは日本のどこにでもある工場ですから、
大規模な大量生産の仕組みももっていないかもしれません。
しかし、まちの職人たちは自分たちの扱う素材のことも、
このまちのこともよくよく知っています。
その知見のなかで、実直に一つ一つのものと向き合い、
誇りと責任を持って仕事をしてきました。
そんなまちの職人たちによって正直につくられたモノたちで
生活が満たされていくことは、間違いなくわたしたちの暮らしを支えていましたし、
知らず知らずのうちに、わたしたちに地域でのつながりを感じさせ、
暮らしに豊かさをもたらしてくれていました。
しかし、時代の流れの中で、工場がわたしたちのまちから
消えていることも事実です。
つまり、小さなものづくりの現場、その人たちの仕事の仕方、
そこで生み出されるものものが、消えてしまいつつあるのです。
そこで私たちは、まちの職人たちと一緒に改めてものづくりをすることを通じて、
“ まちに工場があり、まちでものづくりがされている ”
そのことの価値を確かめ、世の中に問いたいと思います。
“まちの職人”たちによって支えられてきました。
おとなりの鍛冶屋さんや瓦屋さん、染屋さんや、左官屋さん。
彼らによって、一つ一つ作り出されてきたモノは、
わたしたちの生活に馴染むとともに、
彼らの仕事場である “こうば” 自体も自然とまちの風景の一部となってきました。
それらは日本のどこにでもある工場ですから、
大規模な大量生産の仕組みももっていないかもしれません。
しかし、まちの職人たちは自分たちの扱う素材のことも、
このまちのこともよくよく知っています。
その知見のなかで、実直に一つ一つのものと向き合い、
誇りと責任を持って仕事をしてきました。
そんなまちの職人たちによって正直につくられたモノたちで
生活が満たされていくことは、間違いなくわたしたちの暮らしを支えていましたし、
知らず知らずのうちに、わたしたちに地域でのつながりを感じさせ、
暮らしに豊かさをもたらしてくれていました。
しかし、時代の流れの中で、工場がわたしたちのまちから
消えていることも事実です。
つまり、小さなものづくりの現場、その人たちの仕事の仕方、
そこで生み出されるものものが、消えてしまいつつあるのです。
そこで私たちは、まちの職人たちと一緒に改めてものづくりをすることを通じて、
“ まちに工場があり、まちでものづくりがされている ”
そのことの価値を確かめ、世の中に問いたいと思います。
プロダクトができるまで
#001 瓦のジュエリー
episode:フィールドワーク中の車内から、「小原瓦」と書かれた看板を発見し、早速ネットで検索すると高知県佐川町にある瓦工場がヒット。工場に伺い、小原勝司さんにお話を伺うと、この辺り一帯は粘土質の土が豊富で、昔は幾つかの瓦工場があったとのこと。それも今や、ここ小原瓦ただ一軒。瓦の製造工程と、小原さんこだわりのいぶし銀を出すための蛙目(がいろめ)を塗流作業など、普段のものづくりの様子を伺いました。
episode:改めて、お互いの自己紹介とどんなプロダクトをどんなチームで作っていきたいのかをお話ししました。プロダクトは、屋根の上でしっとりと輝くいぶし銀が美しい瓦を身近で手に取れるジュエリーにするというアイデアを小原さんに伝えました。アクセサリーとなると、相当小さなパーツが必要なので、成形方法や焼き方など、具体的なアドバイスをもらいつつ、試作に向けてチームが走り出しました。
episode:ジュエリーに適した瓦の形や作り方を導き出すために、まずは10×10cmの様々な模様のテストピースを制作。曲面の方がいぶし銀の輝きが活きることや、意外と薄くて小さくても焼き上げられることがわかりました。小原さんと一緒に手を動かし、輝きを引き立たせるために研磨する方法や型抜きのコツを教えてもらいながら、少しずつジュエリーになりそうなものがいくつか生まれていました。
episode:ジュエリーに適した瓦の形や作り方を導き出すために、まずは10×10cmの様々な模様のテストピースを制作。曲面の方がいぶし銀の輝きが活きることや、意外と薄くて小さくても焼き上げられることがわかりました。小原さんと一緒に手を動かし、輝きを引き立たせるために研磨する方法や型抜きのコツを教えてもらいながら、少しずつジュエリーになりそうなものがいくつか生まれていました。
episode:いくつかの形と作り方を実験し、曲線をシンプルに表現できる形に決定。薄さと曲面を一定に保つために、さかわ発明ラボで型を制作しました。さかわ発明ラボには、小原さんにも来ていただき、型の加工に使っているレーザーカッターなどを見学していただきました。試作も何度か繰り返し、小原さんと実物を一緒に見ながら、改善点を探し、より美しいプロダクトを目指していきます。
#002 フラフの時計
episode:高知県のHPから伝統的工芸品・伝統的特産品のパンフレットを見つけ、その中で紹介されていたフラフ。フラフとは、端午の節句の時に掲げる名入りの旗のことで、工場では染体験ができるとのこと。体験を申し込み、工場に伺うと、三谷章さん、泰清さん親子が迎えてくれました。まずフラフという独特な文化についてお話を伺い、ひとりずつ米糊で線を描き、顔料で染める体験をしました。
episode:改めてお互いの自己紹介をして、デザイナーのbouillonからはこれまで手がけてきたプロダクトを紹介。bouillonの様々なアイデア発想を聞き話も盛り上がります。三谷さんにはこの日、初めて2階を案内していただいました。2階には広い作業場があり、これまでの手書きのオリジナル図案がびっしり。普段は2階で下絵を描き、1階で染めの作業を行っていると聞きました。
episode:てぬぐいを目標に様々な布の種類とそれぞれの色の発色を実験するサンプルを制作します。しかし、ここで問題発生!普段フラフに使っているのは、主に顔料で触り心地はごわごわ。旗では問題なくても肌に触れるてぬぐいには不向きということが明らかに。染料への変更も実験しましたが、結局アイデア変更。再度フラフのあり方から考え直し、大空に掲げられているフラフを室内で掲げることができる時計というアイデアへ方向転換しました。
episode:時計を制作するには、時計の枠やムーブメントなどのパーツも必要でになってきます。中でもこだわった時計の枠は、さかわ発明ラボのShopBotを使って、なるべく細い線の木枠制作に挑戦。章さん、泰清さんとは、木枠のサイズをイメージしながら、大きなフラフのどの部分の模様を時計に閉じ込めるのかを考えながら、切り取る図柄を決めていきます。
episode:東京で行われた発明ラボの展示ブースにて発表。時計のサイズになっても、ぱきっと映える色と線に来場した人も目を留めていました。3つの展示したうちのひとつは、大きなフラフの一部分を切り取っていることがわかるようにフラフの図柄の上にぴったり乗せて展示しました。
制作パートナー
小原製瓦
創業明治20 年、5 代目 小原勝司さんと6 名の職人さんで営む瓦工場。昔はいくつもの瓦工場が軒を連ねた佐川町ですが、今では町唯一の瓦工場となった。小原さんの作る瓦は、最後に人の手で一枚ずつ磨き仕上げる、鈍くしっとりと輝くいぶし銀が美しい。>more
三谷染工場
創業明治35 年、3代目の父・三谷章さんと息子・泰清さんが営む染物店。主に高知特有の文化で端午の節句の際に掲げる旗「フラフ」を制作している。三谷さんの作るフラフは筒書きという技法で描く白線と鮮やかな色彩のコントラストが実に鮮やか。>more
プロジェクトメンバー
さかわ発明ラボ
高知県佐川町の豊富な木材、植物、農作物などの地域資源を素材に、レーザーカッター、3Dプリンターなどのデジタル工作機器を使い、町民・事業者・子どもたち・専門家などの知恵の力で新しい発明を生み出すものづくり工房。このラボから地域課題を解決し、生活を豊かにする新しい発明が続々と生まれている。>more
Bouillon
愛知県を拠点に活動するデザインユニット。ふだん見慣れているもの・こと・ひとに丁寧に関わることで見えてくる素材のうまみを活かし、シンプルでありながらくせになる ” うまみのきいた暮らし” を提案する。>more
名古屋芸術大学芸術学部デザイン領域准教授 水内 智英
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科で基礎デザイン学を、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ大学院 Design Futures でメタデザインを学ぶ。英日のクリエイティブエージェンシー勤務を経て、2011年より現職。名古屋芸術大学デザイン領域ライフスタイルデザインコースにおいて総合的な視点からデザイン教育を実践する。ソーシャルデザイン、デザイン理論を専門とし、ソーシャルデザインに関する実践的プロジェクトや研究活動も行なっている。