日程:2025年9月3日(水)- 4日(木)
場所:岐阜県郡上市(伊勢湾流域圏・長良川上流)
テーマ:森・川・海の水の巡りと滞り
1滴の滴が、どこから来てどこへ向かうのか、想像してみたことはあるでしょうか。空から雨が降り、森は雨水を蓄え、地中に浸透させながら、ゆっくりと水は川へ浸み出していきます。川はその水を豊富な養分とともに運び、それらはやがて海へと届き、太陽に温められた海水は蒸発し雲になり、途切れることなく、まわり続けるのです。この奇跡的であり、しかしあまりにも当たり前のように存在することで鈍感になっている水の循環システムは、流れゆく過程で多くの生物種を支えながら、私たちの暮らしにとって重要な恵みをもたらしています。この生き生きとした水の流れが、森林伐採や都市開発、河川の直線化やコンクリート護岸、海岸の埋め立てなど、私たちの開発行為によって滞り、その滞りが、土砂災害、河川の氾濫や渇水、生態系の損失など、私たちの社会へと浸み出してきています。本プログラムでは、巡り続ける水に身体を浸し、滞りはじめた私たちの社会について向き合っていきます。
地域:長良川上流域(岐阜)について
長良川は、岐阜県を北から南にかけて横断し、三重県との県境を流れながら伊勢湾に注ぎます。日本三大清流の一つに数えられ、アユをはじめとする川魚が豊富に生息しています。このアユを通じて見えてくる日本の里川としての「長良川システム(人の生活、水環境、漁業資源が相互に深く関わり循環する仕組み)」は、2015年に世界農業遺産にも認定されました。この長良川の源流に位置する郡上市が、今回の舞台となります。
長良川では近年、気候変動の影響により、水温の上昇が顕著になっています。特に夏場には川の水温が高くなり、アユが涼しい場所を求めて移動するため、漁の時期や漁場にも変化が生じてきています。しかし一方で、長良川の支流から流れ込む冷たい水が本流を冷やす役割を果たし、自然の力が気候変動の影響を一部緩和しているとも言われています。
スケジュール(案):
集合 9月3日(水)09:30 長良川鉄道 郡上八幡駅 or 10:00 高速バス 郡上八幡IC
解散 9月4日(木)15:00 長良川鉄道 郡上八幡駅 or 15:30 高速バス 郡上八幡IC
1日目:水と巡る
09:30 長良川鉄道 郡上八幡駅 集合 or
10:00 高速バス 郡上八幡IC 集合、移動
11:00 長良川源流部のポイントに到着、川辺にて昼食、着替え
12:00 川遊びと観察
16:00 着替え、宿泊先へ移動
17:30 お風呂、夕食
20:00 夜の川遊び・焚き火
22:00 就寝
2日目:滞りを可視化する
07:30 起床、朝食、荷物をまとめる
09:00 トーク:岐阜大学 原田先生より追加講義
10:00 ワーク:課題の構造を可視化する
12:00 昼食・全体共有
14:00 出発、移動
15:00 高速バス 郡上八幡IC、長良川鉄道 郡上八幡駅 解散
8/18 事前講義レクチャー講師:
原田 守啓 教授
岐阜大学 環境社会共生体研究センター 環境変動適応研究領域 教授 / 環境社会基盤工学専攻 教授
環境社会共生体研究センター センター長
河川とその流域を対象に、土砂水理学・河川工学と河川生態学の学際分野での研究活動を通じて“人にとっても生き物にとってもいい川”、“治水と河川環境保全を両立した河川管理”を目指した技術開発、気象・森林・水文・水環境・農地・生態系などの研究者との共同による持続可能な流域圏の実現を目的とした研究プロジェクトなどに取り組んでいます。岐阜大学 地域環境変動適応研究センターのセンター長を拝命し、2024年4月からは関係センターと統合して新設された2025年3月より岐阜大学 環境社会共生体研究のセンター長。学内外の専門家、地域のステークホルダーの方々と協力しながら、持続可能な流域圏の実現を目指して活動中。
当日アテンド:
由留木 正之 先生
神戸と大阪に挟まれた尼崎というカオスで、人間多様性がある下町に生まれる。日本やカナダなどカヌーの川旅の途中、92年に25歳で郡上の自然と川に惚れ込み移住。3人の娘の父、「稼ぎ」は郡上で自然体験や地域振興のためのツア-企画、運営、アウトドアガイドを33年ほどしている。得意な事は、美味い食べ物を探して来る事、型にハマらず自然の中で遊ぶ事。近年郡上の自然や暮らしが循環可能で無くなりつつある事に、心を痛め、自分にできる郡上への恩返しを模索中。
▶︎ 取材記事 https://issueplusdesign.jp/climatechange/journal/voice001/
下田 知幸 先生
民宿しもだに生まれ、お客様の声から里山の暮らしや自然の豊かさを学ぶ。
小学生を対象とした自然体験のガイドや、長良川中流域でラフティングガイドとして活動。また、国内外の河川でのあそびの経験や、「森里海を結ぶフォーラム」の運営を通じて、全国各地の自然環境と生き物の営みについて学びを深め、伝える活動にも携わる。
現在は、自然環境や町の産業を次世代や訪れる方々へつなぐことをライフワークとしている。
運営メンバー:
【岐阜エリア担当】
白木彩智
issue+design 理事・デザイナー
1988年生まれ、長良川の下流域である岐阜県羽島市出身。高校時代は、長良川の中流域である岐阜市で鵜飼を横目に高校に通った。東京造形大学デザイン学科卒業。issue+designが立ち上がった2008年から参画し、大学卒業後より本格的に合流。デザインの力で、あらゆる地域・社会の課題解決に取り組む。『みんなでつくる総合計画』Good Design Award 2016, 『SDGs de 地方創生カードゲーム/書籍:持続可能な地域のつくり方』でGood Design Award 2019 及び GOOD FOCUS賞などを受賞。長良川の上流域・郡上に拠点を構える長良川カンパニーの立ち上げ理事も兼任。一周回って、岐阜が好き。
【運営メンバー】
宮崎千穂
issue+design デザイナー
2000年生まれ、愛知県出身。歩きながら日常を観察することが好きで、その見方が社会課題の解決に活かせないかと思い、2023年よりissue+designに参画。普段はプロジェクトの企画やリサーチ、制作物のデザインを行う。昨年の海のデザインスクールでは運営のサポートを担当。海洋生物の触感や漁師とカモメのやり取りに心が震えた。
===== 応募〆切【 2025年8月3日(日)】=====
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