気候危機+DESIGN

interview

その7 1.5℃目標

2100年までの気温上昇1.5度以内が世界共通目標

2022.10.13

2015年フランス・パリにおいて開催された 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)にて採択された「パリ協定」の中で、工業化前からの平均気温上昇を 2℃未満に抑えるこ とが世界共通の長期目標(2℃目標)として設定され、さらに、1.5℃に抑える努力を追求すること(努力目標)と言及されました。
そのあと、2018年にIPCCが1.5℃特別報告書を発表すると、1.5℃への関心が高まり、G7や日米、米英、米EU(欧州連合)などの主要先進国間の共同声明では1.5℃のみが使われるようになり、徐々に1.5℃が世界共通の認識となって行きました。
そんな状況下で、2021年にイギリスで開催されたCOP26の中で、世界共通の目標としてより強く位置づけることになりました。

COP とは

COPは締約国会議(Conference of the Parties)のこと。一般的に、1992年に採択された国連気候変動枠組み条約の締約国が集まる年1回の会議を意味します(生物多様性条約の締約国会議もCOPと呼ばれるため、混同しないように注意が必要)。国連気候変動枠組み条約の最高意思決定機関と位置づけられ、すべての条約締約国(21年11月現在197カ国・地域)が参加して温暖化対策の国際ルールを話し合います。2021年秋に英国グラスゴーで開催された会議は26回目のため、COP26。2020年までの温暖化対策の枠組みである「京都議定書」が採択されたのが1997年のCOP3。京都議定書の次の枠組みである「パリ協定」が採択されたのが、2015年のCOP21。

パリ協定とは

COP21が開催されたフランスのパリにて2015年12月に採択された、国際的な協定。1997年の京都議定書以来、18年ぶりの気候変動に関する国際的枠組みであり、気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが参加する史上初のものです。
世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ(2℃目標)とともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)が示され、21世紀後半に人間活動による温室効果ガス排出量を正味ゼロにすることが明記されています。各国に対する排出量削減目標の策定義務化や進捗の調査など一部は法的拘束力があるものの罰則規定はありません。
世界第二位の巨大排出国であるアメリカがトランプ大統領の就任により、2019年11月に離脱を表明したものの、トランプ政権を引き継いだバイデン大統領によって、2021年1月に復帰が表明されました。

IPCC

この1.5度という目標設定に大きな役割を果たしているのが、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)です。IPCCは、地球温暖化についての科学的な調査・研究・提言を行うために国を超えて各種専門家が集った学術的な組織です。世界中の数千人の専門家の科学的知見を集約した「評価報告書」を数年おきに発行し(最新は2021年)、気候変動の対策技術や政策の実現性やその効果、それが無い場合の被害想定結果などに関する科学的知見を提供し、国際政治および各国の政策に強い影響を与えています。

なぜ、1.5度なのか?

2018年発表の「IPCC1.5℃特別報告書」によると、このままの速さで温暖化が進めば、2030年から2052年の間に気温が1.5℃上昇すると予測されるものの、今すぐに温室効果ガスの排出量をゼロにすれ ば、1.5℃を超える可能性は非常に低いと言及しています。つまり、気温は上昇傾向にあるものの、対策を取ることで、1.5℃以内に抑えられる可能性があるということです。
また、同報告書の中では、1.5℃上昇と2.0°上昇の人類に与える影響の違いに関する分析結果も報告しています。

出典:IPCC 1.5℃特別報告書ををもとに編集部作成

1.5℃ の気温上昇の場合、2℃の上昇に比べて熱波や豪雨といった極端な現象が少なくなり、生物及び人類への影響が少なくなるということを意味します。
気温上昇1.5℃以内であれば、被害が極めて少ないという訳ではないものの、実現の可能性がまだ残されており、かつ影響をできるだけ小さくするために設定された目標が、1.5℃なのです。

参考資料

気象庁ホームページ
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「1.5度特別報告書」2018年10月
WWFジャパンセミナー 「気候危機には1.5度目標がトレンド」2019年11月

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