気候危機+DESIGN

interview

その2 温室効果ガス

気候変動の原因は人間が排出する過剰な温室効果ガス

2022.08.15

世界の気温が0.74℃(100年換算)、日本の気温が1.24℃(同)上昇している原因は、人間の活動に伴い排出される温室効果ガスの増加だということが、多くの科学者の研究で明らかになっています。

温室効果ガスとは何でしょうか?

温室効果ガスの増加により、なぜ気温が上昇するのでしょうか?

炭素循環と呼ばれる地球と地球上の生物のメカニズムを知り、気候変動の原因を理解しましょう。

温室効果ガスとは

地球の気温上昇の原因となっている人間の活動によって発生する二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどの総称です。

総量の4分の3を占めるのが、二酸化炭素です。石炭や石油の消費、セメントの生産など、私たち人間の様々な活動により大気中に放出されます。

2割弱を占めるメタンは、湿地や池、水田で枯れた植物が分解する際に発生したり、牛など家畜のげっぷにも含まれます。二酸化炭素の21倍の温室効果があると言われています。

6%を占める一酸化炭素は、農業における窒素肥料の使用や製品製造などによって発生し、二酸化炭素の310倍の温室効果を持っているとされています。

2%を占めるフロン類とは、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)等を合わせたものです。これらの物質は、二酸化炭素(CO2)の数百倍から一万倍超と非常に大きい温室効果があるものです。冷蔵庫やエアコンの冷媒、発泡剤などに主に使われています。

出典: IPCC第5次評価報告書より編集部作成

地球温暖化のメカニズム

こうした温室効果ガスがどのように気温上昇を引き起こすのでしょうか。
まずは地球の気候システムを見てみましょう。
地球が私達人類が暮らすことができる温度を保っているのは、太陽から降り注がれる太陽光線が地球の地表を温めてくれているためです。
しかし、地球単体だけであれば、降り注いだ太陽光線はすぐに反射してしまい、地球の温度は−19℃程度までしか温まらず、人間を含む多くの生物が暮らすことはできません。

現在、地表の平均気温が生物が暮らしやすい14℃程度に保たれているのは、地球の大気による「温室効果」のおかげです。
大気とは地球などの天体の表面を取り巻いている気体の層です。私たちが普段吸っている「空気」とほぼ同じものです。
大気は、太陽から有害な紫外線やX線を遮ってくれるとともに、地球を保温する役割を果たしています。大気無しでは-19度と推測される地球の地表が14℃程度ということは、つまり33℃もの保温効果を果たしているのです。
地球の大気の中に含まれ地表を保温する効果を果たしているものが「温室効果ガス」です。つまり、温室効果ガスはそもそも私たちが地球で暮らすために欠かせないものなのです。

出典: JCCAウエブサイトを参考に編集部作成

太陽光線で温まった地表から放出される赤外線は、温室効果ガスである二酸化炭素の分子を振動させ、熱が発生し、大気から地上に向けて熱が再放射されます。その熱が地表を温め、また地表から放出され、大気に上昇してきて、温室効果ガスにより再度熱が生まれ、地上に放射される。この繰り返しにより、33℃の保温を達成しています。
しかし、この温室効果ガスが、石炭や石油の大量な消費など人類の行き過ぎた活動の結果、増えすぎてしまい、保温効果が高まりすぎてしまっているのが、気温が上昇している原因だと言われています。

温室効果ガスの濃度の推移

大気中の二酸化炭素の 2019 年の世界平均濃度は410.5 ppm で、工業化(18世紀中頃)以前の約 1.5倍に達しました。特に2010年台に入って、増加ペースが急激に上がっています。
また、国内観測点においても二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素の大気中濃度は増え続けています。綾里(岩手県大船渡市)、南鳥島(東京都小笠原村)、与那国島(沖縄県与那国町)の大気中二酸化炭素の 2019 年の平均濃度は、それぞれ 414.0 ppm、412.2 ppm、414.8 ppm でいずれも世界平均濃度より高い結果でした。

出典:気象庁ウエブサイト内データを加工し、編集部が作成

炭素循環の仕組み

それでは、なぜ温室効果ガスは増えすぎてしまっているのでしょうか。
それを理解するためには、地球上の大気、水、動物や植物などの様々な生物の間で炭素が循環するシステムを理解する必要があります。

出典: NTT宇宙環境エネルギー研究所ウエブサイト内の記述を参考に編集部作成

二酸化炭素は海洋、土壌。そして人間活動から大気中に排出されます(海から約2900t、陸から約4400t排出)。一方、海洋と森林が大気中の二酸化炭素を吸収します(海が2900t、陸が4500t吸収)。この排出量と吸収量を比較すると吸収量が約200t上回ります。つまり、この陸と海の活動だけであれば、温室効果ガスは増えることはありません。

これに、我々の人間の活動からの二酸化炭素の排出量が加わります。18世紀の産業革命以前の地球上では、人間の活動による排出は微々たるものであったため、地球のこの大きなシステムには影響を与えていませんでした。

しかし、現在は地中に蓄積された化石燃料(石油・石炭など)の燃焼を中心とした我々人間の活動が増加し続け、約330tが排出されており、約160t程度が吸収しきれず、大気に残留してしまっているのです。

カーボンニュートラル

炭素循環のシステムの下、人間活動・陸・海からの排出量と陸や海での吸収量を同量にし、二酸化炭素排出量をプラスマイナスゼロにすることを目指す考え方が「カーボン(炭素)ニュートラル(中立)」という考え方です。

そのために、人間活動からの排出量を減らすこと、陸や海の吸収量を増やすことが全世界的に取り組まれているのです。

おまけ1 陸の炭素循環

ここからはやや専門的な内容のため、ご興味がある方のみお読みください。

図の右側で起きている陸の循環のメカニズムが次の通りです。
大気中の二酸化炭素は次の流れで、陸に吸収され、循環したあと、再び大気中に放出されます。

1. 植物が、大気中の二酸化炭素を光合成により、有機物に変換し、体内に取り込みます。

2. 植物体内の有機物は、昆虫や草食動物などにより食べられ、さらに、昆虫や草食動物に取り込まれた有機物が肉食動物、そして人間によって食べられ、消費されます。

3. 動物(および植物)により消費された有機物は、二酸化炭素となって呼吸として大気中に放出されます。

4. 落ち葉や枯れた植物、動物の糞や死骸は、菌類などの微生物や小動物などに分解され、二酸化炭素として大気中へ放出されます。

5. 分解されずに残った土壌中の有機物は、土壌の中に蓄積されます。こうして長期間蓄積されたものが、石炭・石油などの化石燃料になります。

おまけ2 海の炭素循環

図の左側で起きている海の循環のメカニズムが次の通りです。
大気中の二酸化炭素は次の流れで、海洋に吸収され、海洋中を循環したあと、再び大気中に放出されます。

1. 二酸化炭素は水に溶けやすい性質を持つため、大気中から海洋へと溶け込みます。

2.  表層の海水に溶け込んだ二酸化炭素は海洋の循環などにより、中層から深層へと運ばれます。

3. 海洋表層にいる植物プランクトンが、光合成により二酸化炭素を取り込み、有機物を作り出します。

4. 植物プランクトンの体内にある有機物が、動物プランクトンや魚などにエサとして取り込まれます。

5. プランクトンや魚などの死骸や糞に含まれる有機物は、やはり海中へ深く沈みます。

6. 海洋に溶け込んだ二酸化炭素は、再び海面から大気中へ放出されます。

参考資料

気象庁ホームページ
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「第五次評価報告書」2013年9月27日
環境省「気候変動影響評価報告書」2020年12月
NTT宇宙環境エネルギー研究所ウエブサイト「Beyond Our Planet」https://www.rd.ntt/se/media/index.html
全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA: Japan Center for Climate Change Actions)ウエブサイト

 

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