震災復興+design 課題発見賞

行方不明者手続書

作者 : 秋吉 佳那 / 川邊 桃子 / 近藤 昌史

作者からのコメント

東日本大震災により、未だ多くの人の行方がわかっていません。政府は残された家族の今後の生活を考え、行方不明であっても遺族年金や保険金を受け取れる特別措置をとりました。しかし、その条件として、家族は死亡届を記入しなければならず、確かな証拠がないまま愛する人を死者とみなすことに苦しみと戸惑いを感じています。届出に来た家族が死を想起せずに記入でき、行方不明者への祈りが込められた新しい行政書類を提案します。

講評

本作品は東日本大震災の復興過程において被災地が抱える深い課題を発見し、被災者(特に行方不明者の家族)およびそれに対峙する行政職員の気持ちに寄り添い、「行方不明」「死」という難解な課題にデザインの力で挑んでいている点が高い評価を受けました。以下が審査員のコメントです。

  • シンプルなアイデアながら、大切な人の死を認めたくない遺族への心配りにあふれた良いデザインだと思います。
  • 近親者を亡くされた方への配慮という外からは気がつきにくい課題への解決がなされている。折り紙のアイデアは蛇足かもしれない。
  • 現実の状況をきめ細かくとらえ、課題を抽出し、切実な心のケアにより、行政と住民との結びつきのデザインを具体的に示した点が素晴らしい。時期的に少し、遅すぎたのではという印象があるので早急な施行が望まれる。出口のコミュニケーションプロセスに対し、もう一工夫が欲しい。
  • 行方不明者に対する手続きのうち、残された家族にとって大きな壁になっている部分をうまく乗り越える提案になっていると思います。目に見えない精神的な課題だけに、その解決策を提案する人がこれまで少なかったように感じます。こうした細やかな気づきが美しいデザインへと昇華されることはとても大切なことだと感じました。
  • 気持ちを推し量るデザイン。一般日常においても「死亡届」という書類は、遺族にとって重く複雑な感情を生むものでもあり、そこをも変えるきっかけにもなればと思います。難しい点が、この書類の意味をどう伝えるか?行政としては、死亡として処理することには変わらない。

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