教育現場における認知症世界の歩き方ワークショップの導入@東京都立産業技術大学院大学

教育現場における認知症世界の歩き方ワークショップの導入@東京都立産業技術大学院大学

はじめに

大学院の本年度の卒業研究で、ヘルスケアデザイン分野のゼミで認知症患者に対してのケアテックを研究していると伺い、情報デザインの観点から認知症を学ぶという意味で、動画・カードゲーム・デザインなどを含めた90分のワークショップをオフラインで実施した。

 

ワークショップの様子

動画を3本(ミステリーバス・ホワイトアウト渓谷・七変化温泉・カイケイの壁)とダイアログカードゲーム・デザインの間違え探し(駅編)を使い、アカデミックな環境でやることも踏まえて、海外の認知症患者の自立型の介護施設ホグウェイを紹介し、認知症世界の歩き方の内容から今の自分たちにできることを考えるというアプローチも行った。

動画に関しては、少し知見のある人たちが見たこともあり、別のアプローチでもよかったのかなと感じる部分があったが、動画を見た後に補足説明をした際に「認知科学的にみたらどうなのか?」とか別の角度の質問があったりしたので、そういった面で導入に動画を活用したことで弾みがついた。

また、カードゲームや間違え探しでは最初はなかなか進まなかったところもあったが、思考を引き出すような問いを心掛けたり、答え合わせをしてからさらに新しい答えを考えるというようなことも試すことで、お互いの考えや意見も活発にでていた。

 

参加者の様子・感想

参加者から言われたのは、「認知症に対してデザインや対話の角度からアプローチをしてもらったことで自分たちの研究内容の棚卸や、問いや思考を鍛えられるような内容だった」といわれた。

また、担当教員より「認知症の概要を知るにはとてもいい内容だ」といわれたこともあり、定期的な実施を検討したいとおおむね肯定的な意見が多かった。

また、逆に改善点としては「少しカードゲームに関しては内容が難しかった」という意見もあり、アイスブレークを少し挟むなどの工夫が必要と感じたためその点は改善していきたい。

 

終わりに

ある程度認知症に対しての知識がある人たちに対してやったこともあり、いわゆる「これは偏見」というものは少ないかと思ったが、「実際にやってみるとこれってこうだったんだ」と感じる人も多く、逆に「これは正解」と伝えたものが、介護施設とかの人の意見を聞くと違ったりする場合があるという別の角度の意見が知れたのは収穫だった。

また、今後の課題としては共創力を上げることだと思っており、認知症の人が一緒に参加できるようなブロックを活用したワークショップ構築を検討中である。

実際にヘルスケアデザインで、LEGOブロックを使った共創アプローチや療法があり、カードだけではなくLEGOブロックに代表されるようなブロックを使って、脳や手を動かしながら自分たちの見える世界みたいなのを見せていくようなアプローチを実験的にできるようにしていきたい。

 

ファシリテーター紹介

名前:平山愛恵
所属:東京都立産業技術大学院大学
プロフィール:1992年3月21日生まれ 埼玉県出身

 

開催概要

日時:9月30日
会場:東京都立産業技術大学院大学
定員:4名
内容:認知症世界の歩き方ワークショップを使った認知症や高齢者へのコミュニケーション

 

【文献参照】

認知症の人とケアする人しかいない…「自分なら”認知症村”で暮らしたいか」介護の専門家が下した結論
https://president.jp/articles/-/62977?page=1

女性ビルダーを応援する<Women’s Brick Initiative>
https://www.lego.com/ja-jp/rebuild-the-world/articles/womens-brick-initiative